微力からはじまる 株式会社サーフビバレッジ
TOP>東日本大震災災害復興支援 微力からはじまる

戻る

日本スーパーマーケット協会では、東日本大震災の影響を受け、流通の現場では今、何が起こっているのか当事者の方々からのお声を聞き、お伝えすることにしました。第3回は山梨県の飲料メーカー(本社・東京都)である株式会社サーフビバレッジ 三尾秀幸 常務に災害時および夏季におけるミネラルウォーターの供給対応についてお伺いしました。

夏季ミネラルウォーターのピークが春にきてしまった

――御社の概要、震災の影響等について教えてください。

当社は、主にOEMでプライベートブランド商品を生産しております。今回の震災で需要が急増したミネラルウォーターも取扱商品のひとつです。このほか、お茶類やスポーツドリンクなどの飲料を製造しておりまして、ライン毎に生産能力は異なりますが、1工場では2Lのペットボトルを1日約5万本製造しております。震災以降は、翌日から24時間体制で、可能なかぎりフル稼働を続けている状態です。通常ですと、夏季の需要増にむけて、5月頃から前倒しで予備のストックを作り始めるのですが、今回は3月の時点で夏季ピークがもう来てしまったという感じですね。急な需要増に備え、必要量を賄うために在庫バッファーを持ちたいのですが、ストック分の生産が追いつきません。全従業員が寝食を忘れ頑張ってくれており、全社で震災復興のための物資を生産しております。


――震災当時のご苦労を教えてください。

震災直後、当社も何とか生産体制を立て直し、商品を出荷できる見通しがついたのですが、ガソリン不足の影響を受けて、物流が滞りました。配送会社にデリバリーをお願いしたのですが、燃料がないということで断られました。そこで当社では、中部地方などからガソリンを調達し、なんとか配送してもらえるようにお願いしました。そういう工夫が功を奏し、供給先である小売様からのご指示を受けて、宮城県庁ですとか、被災者の方が集まる埼玉スーパーアリーナーなどに支援物資をお届けすることができた訳です。ただし、工場においては、計画停電時に工場ラインを止めなければなりませんでした。夏季に同じようなことが起これば生産能力が落ち、需要ピーク時に供給力も低減してしまうでしょう。
株式会社サーフビバレッジ
代表取締役社長 播野 裕史
本社: 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-60-5
業務: 清涼飲料水製造販売
(ミネラルウォーター、緑茶、烏龍茶、麦茶、スポーツドリンク、
その他 各種飲料)
設立: 平成4年9月3日
従業員: 約170名
右は山梨県にある同社の御坂工場。同社は食品安全のマネジメントシステムであるISO22000を取得しており、安全なフードチェーンの仕組みが構築されている。
御坂工場

トップへ

店舗在庫のミネラルウォーターが今は家庭でストックされている

――包装資材の調達はうまくいったのですか?

ボトルやキャップのサプライヤーもSCMで生産しており、常に在庫を持っている訳ではありません。彼らは、われわれ製造ラインの需要動向を読み、走りながらサプライ(ボトルやキャップなど)を作っているので、潤沢な在庫は抱えてはいないのです。たまたま当社は、工場に包装資材の手持ち在庫があったことや、もともとPB商品でキャップも無地の商品が多かったことから、最小限の影響だけで済んだのだと思います。このほかにも被災を受けていない地方のサプライヤーにお願いして、当社から10t車を走らせ、包装資材を取りに行くこともありました。


――ミネラルウォーターの安全性について不安感が広がったことで、今後、製造や供給が追いつかなくなるということはありませんか?

そういう雰囲気はあると思います。そうは言ってもミネラルウォーター市場が急に2倍に膨張した訳ではありません。在庫がタイトになっているのは、小売店舗様のストックヤードで在庫されていた水が家庭でストックされ、留め置きされているのが現状ではないでしょうか。安全性が確認され、落ち着きを取り戻したら、消費の動向はまた元に戻り、店頭に並ぶようになると思います。別の視点で見ると、今回のことで消費者の注目がミネラルウォーターに集まったことは、長い目で見れば市場の活性化につながると思います。例えば今まで関心を持たなかったお客様が、ミネラルウォーターで炊飯しようとか、ミルクを作ろうとか、改めて安全・安心などの価値に気づき、消費につなげていただける訳ですから。ただ現状では、すべての受注に対応しきれていないので、申し訳なく感じております。
当社としましては、お取り組み先である小売様に対し、夏季に向けてSKUの拡張ではなく、売れ筋商品に集中した生産をお勧めするなど、前向きな改善ご提案を行い、日頃からのパートナーシップにもとづいた真摯な協業を推進していきたいと考えております。
御坂工場 ライン
御坂工場のラインを流れるお茶。同社は小売チェーンのPB商品のOEM生産を受託している。
工場ライン
工場ラインを鳥瞰したところ。衛生的なラインを大量の製品が流れていく。

トップへ

飲料メーカーの社会的な存在意義は高まったと思う

――今回の震災で得られた教訓はありますか?

不謹慎な言い方に聞こえるかもしれませんが、有事の際に必要とされる仕事は、いい仕事だと思うのです。日頃は価格や納期に追われて、企業理念を見失うことがあるかもしれません。今回、工場ラインも、セールス担当者も、受注担当者も、『飲料メーカーとは人間が生きていく上で無くてはならない事業だ』ということに気づけてもらえた。いい仕事に就いたなと思ってもらえた。その変化が見てとれるのです。当社としましては、今後も供給先である小売様を通じて、支援物資であるミネラルウォーターの安定した供給に取り組んで参りたいと考えております。
(聞き手・管理渉外部 茂野)
三尾常務
「震災時はさまざまな工夫で安定供給につとめた」と三尾常務。同社の社会的貢献は大きい。
 

トップへ